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動物から食べ物になるまでの過程
工業化された残酷さ:工場畜産

 病気になったり死んでしまった動物は畜産業では使い物にならないので、たいていの人は食用に育てられる動物はよく扱われていると信じています。これは本当ではありません

 低価格の肉や卵と乳製品を生産するという競争が、畜産において動物を物や商品として扱うことにつながりました。世界のトレンドとしては小規模の家庭畜産が「工場畜産」に取って代わられるようになり、動物たちは大規模な倉庫のようなところで、狭く混雑をした鳥かごや檻、もしくは自由に身動きのとれない牛舎の仕切りの中に閉じ込められています。

「社会は農業の本質について非常に無知だ。
もし人々が、農業と動物の生産がどのように動物の福祉を台無しにするか ということについてもっと知ることができれば、私たちの抗議の声はより強くなるだろう。」

バナード・ローリン博士
『畜産動物の福祉』1995年
アイオワ州立大学出版 

 バナード・ローリン博士はこう説明します。「(畜産業者にとって)より多くの鶏をひとつの籠に入れると、一羽あたりの生産率は下がるが、ひと籠あたりの生産率が上がり経済的には効率的だ。そうすると個々の動物はもっと生産につながることをするかもしれないが(たとえば、身動きがとれないこともあり体重が増える)、動くことができないために苦しむ。鶏の値段は安く、籠は高いのだ。」1

 一匹の豚あたりのスペースを8インチ(20.3cm)から6インチ(15.2cm)にすることを推奨している「全国養豚業者」の記事では、「豚を狭く飼うことは、より儲かることだ」としています。2

ビデオ:"Meet your Meat"

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー家禽類ーー

 世界中に実際にほとんどの家禽類は工場畜産で育てられるようになりました。鳥たちは混雑をしてストレスの多い環境にいるために、お互いにつつきあいます。それを防ぐことを目的に、農業者が熱いナイフで口ばしの先端を切り落とすため、鳥たちは数週もの間、酷い痛みにさらされます。3 中には、そのあとは食べることができずに飢えたり餓死をするものもいます。糞尿の蒸気が目や呼吸器官の感染や、その他の病気を引き起こします。4  写真 ビデオ:"ブロイラーの一生"

ーー産卵鶏ーーーーーーーーーーーー

 鉄柵の檻籠に詰め込まれ(畜産業の平均は一羽当たりわずか15cm四方より少ない)5、雌鶏達は身動きがとれず窒息や脱水で死ぬこともあります。生きている雌鶏と一緒の檻に、腐敗した死骸が見つけられることもあります。雌鶏は生産能力が衰えたときには屠殺されるか、もしくは「強制脱皮」(体にショックを与えて卵を産むサイクルに戻すために、何日間も水や食べ物を与えられずに過ごすこと)をさせられます。オスのひよこは経済的に生かしておく価値がないので、大きなビニール袋に入れられて窒息をさせられたり、首を切られたり、ガス室にいれられるか、もしくはつぶされて殺されます。 ビデオ 写真

「鶏の行動・認知の能力についての知識が増すにつれて、鶏がただの食糧として扱われるような下級の種ではないということに私たちは気が付いてきた。」

レズリー・ロジャーズ博士 「鶏の脳と行動の発達」1995年

 

 「産卵鶏は...床面積がわずかこの(雑誌・ニューヨーク・タイムズの)一ページほどの籠の中に6羽の雌鶏たちと一緒に詰め込まれ、その短い生涯を終える。この動物のすべての本能は妨害されているため、籠の中での共食いや、羽がなくなり血が出るまで体を鉄柵に擦り付けるといったような “ 悪い ” 行動を引き起こす。...こういった状況に耐え切れず、死んでゆく雌鶏たちの数は10パーセント程に登り、生産のコストの一環として計算される。」

 「監禁経営で育てられる豚たちは、ホルモン剤と抗生物質の入った餌のほうが早く体重が増えると言う理由で、わずか2週間から3週間(自然では13週間)ほどで母豚から乳離れをさせられる。こういう早まった乳離れのせいで、一生、吸ったり噛んだりする必要が生じ、監禁状態の中で、この必要は目の前の動物の尻尾に噛み付き解消される。...USDA(アメリカ農政局)の勧める問題解決法は “ 尻尾切り ” と呼ばれている。ペンチを使い(麻酔なしで)ほとんどの尻尾(全部ではなく)が切られる。なぜ尻尾を少し残すのかって?尻尾切りの真の目的は尻尾噛みの的を取り除くことというよりも、尻尾をより敏感にすることだからだ。尻尾切りの後は、尻尾を噛まれることは非常に痛く、一番士気のない豚だってどうにかして逃げようとする。」

マイケル・ボラン 雑誌『ニューヨーク・タイムズ』「動物の場所」 2002年11月10日

 

ーー豚ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 1976年9月の「養豚管理」という工業専門雑誌でジョ ン・バーンズ氏は「豚が動物であることは忘れたまえ。 工場の機械のように扱えばいいのだ」と述べています。

 今日の養豚業者はちょうどそのように豚を扱っていま す。モーレイ・セイファー氏は「60ミニッツ」という番組で、「これ(映画ベ イブ)はアメリカ人が想像していたい豚の姿だ。実際 の “ べイブ ” (豚たち)は太陽を見ることもなく、横 になるわらもなく、転がり浴びる泥もなく限られた命 を終える。雌豚たちは狭すぎて方向を変えることもで きないような小さな檻に住む。彼らは鉄柵の中に住み、 糞尿は足元の薄い板を通し押されて大きな集積場に流 される。」と話しました。6 写真

ーー乳牛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 1940年から1999年の間に、一頭あたりの牛乳の年平均生産量は2.3トンから8.9トンへと増えました。7 牛乳の多量生産は乳房の帯へのダメージや、乳腺炎、そして足の損傷を引き起こします。8

 一度牛乳の生産が落ち込んだ牛たちは、生かしておくことが経済的に不利益になります。普通、牛たちの寿命は20歳を超えますが、たいていは5から6歳のころに屠殺されます。

 乳牛たちは、子牛たちに授乳することをほとんど許されません。多くの雄の子牛たちはすぐに屠殺され、そのほかの子牛は「特別食を与えられた子牛の肉用」に育てられ、屠殺されるまでの18から20週もの間、首に2から3フィート(61-91センチ)ほどの鎖でつながれたままになります。9 ビデオ 写真

「ちょっと立ち止まり、考え、 “ もし私が君 を知っていたら食べないよ ” と言うことので きる能力を誰もが持っていると思う。」 「そしていくらかの面では、本当にこんなに シンプルなことなのだ。」

トム・レーガン博士 ノース・キャロライナ州立大学、哲学教授 『僕のテーブルの牛』より

 
   

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脚注&参照 

1 バーナード・ローリン博士 『畜産動物の福祉』アイオワ州立大学出版 1995 年
2 1993年11月15日
3 『英国家禽科学』30号479ぺージ 1989年
4 「家禽の病気」1997年
5 USDA APHIS VS 1999年のアメリカにおける卵のレイヤーの管理についての参照 2000年1月
6 「豚肉のパワー」60ミニッツ 1997年9月19日
7 USDA NASS 農業統計 2001年
8 教科書『科学的畜産動物の生産』第6版 1998年
9 USDA 「動物福祉問題の概要」1997年9月

     
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